睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
みなさんは”睡眠時無呼吸症候群”と聞くとどのようなイメージでしょうか?
・名前は聞いたことがある
・寝ているときに息が止まる
・いびきをかく病気 などなど
近年ネット上などで”睡眠時無呼吸症候群”という名前を目にすることも増えていますが、どのくらいご存知ですか?
”睡眠時無呼吸症候群”とは、「睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりを繰り返し、昼間の眠気をきたして、さまざまな身体の不具合につながる状態」を言います。(SAS: sleep apnea syndromeの略称)
睡眠時無呼吸症候群の原因と起こるしくみ
寝ているときに呼吸が止まる原因はさまざまです。口の奥からのどにかけてのいわゆる「上気道」と呼ばれる部分が狭くなるために起こることが多いとされます。
上気道が狭くなる原因では、成人で多いのは、肥満の方が仰向けに寝ると喉周りの脂肪が気道を圧迫することです。
また生まれつき扁桃腺が大きかったり、顎が小さめで仰向けに寝ると「舌根沈下(ぜっこんちんか)」という舌の根元が喉を塞ぐことで起こる場合もあります。
加齢や飲酒で喉の動きをつかさどる筋肉がゆるんで起こるケースもあります。
その他、鼻炎やタバコで気道粘膜の慢性炎症が原因のことも!
これらのいずれかの理由で、睡眠中に上気道が塞がり呼吸ができなくなる(止まる)→身体の中の酸素が少なくなり、苦しくなって起きる→また眠る→上気道が塞がり…を繰り返す。
これを一晩に何十回、重症の方なら何百回も繰り返すのが”睡眠時無呼吸症候群”の起こるしくみです。
また少なめながら、脳神経の中で呼吸をつかさどる延髄の“呼吸中枢”の異常によって、正常な呼吸運動ができなくなり発症することもあります。
睡眠時無呼吸症候群がからだに及ぼす影響
本来睡眠は、身体や脳を休めるために必要不可欠なものです。
”睡眠時無呼吸症候群”になると、いわば「眠る→起きる」というサイクルが分刻みで強制されるようなものなので、当然身体も脳も休めなくなります。
脳が休めないと
・判断力の低下
・怒りっぽくなる
・集中力がなくなる
といったことにつながります。
また身体(特に心臓血管系)も休めなくて、高血圧や心不全・脳卒中など心臓血管がかかわる病気の発症にも影響します。
研究では、”睡眠時無呼吸症候群”の方は健常人と比べ下記の病気や事故の発生率が何倍にもなりやすくなると知られています。
睡眠時無呼吸症候群の治療
”睡眠時無呼吸症候群”の治療では、CPAP(シーパップ)が、安全性も高く効果が確立した治療とされています。
CPAP(シーパップ)とは、睡眠中に鼻(もしくは鼻と口)にマスクを装着し、気道に常に空気を送ることで、気道を広げてあげる機械です。気道が完全に塞がるのを防ぐ手助けをする治療です。
また肥満や飲酒、喫煙などの生活習慣や寝る体勢などが関わっていると考えられる場合には、そちらの治療や指導を並行して行うことも有効です。
CPAP(シーパップ)などの治療をはじめるには
”睡眠時無呼吸症候群”かな?と思われる場合まずは診断をしなければなりません。
そのためにまずは「睡眠ポリグラフ検査(PSG)」と呼ばれる検査を一晩かけて受けていただく必要があります。
この検査は、コンパクトな検査機器をお貸ししてご自宅で受けていただける検査ですが、当院ではこちらの検査および診断がついた場合のCPAP(シーパップ)治療の導入が可能です。
眠っているときに
・いびきご大きい
・息が止まっている
・息苦しくて目が覚める
起きているときに
・居眠りが多い
・集中力がなくなった気がする
・イライラが増えた など
思い当たる方は一度お問い合わせ下さい。
※”睡眠時無呼吸症候群”に関する検査および治療は健康保険の診療となります