コラム ゴルフ障害について ~手くび編~

ゴルフが原因で起こる運動器の痛みを「ゴルフ障害」と呼びますが、上肢の中では、前回述べた肘の次におっしゃる方が多いのが、右打ちの方の場合では左手首です。

手首を痛める原因もいろいろありましょうが、比較的多いのはアイアンショットのようです。

ゴルフスイングのうち、地面に位置するボールを打つ役割をすることが多い、短めでクラブヘッドが板状のブレード構造をしたクラブをアイアンと言います。

ティーに置かれた第一打のボールを打つ役割をするドライバーと呼ばれるクラブをはじめ、クラブヘッドが金属のかたまり状になった「ウッド」と呼ばれる種類のクラブ(これは昔から比較的近年までクラブヘッド部分が木製だったのでそう呼ばれています)がありますがこれは、クラブをクラブヘッドが円弧を描くように振って、その円弧の一番低い位置(ドライバーだと一番低い位置から少し上がりかけの位置)でボールに当てて打つイメージで使われることが多いようです。

それに対し、地面に置かれたボールを打つアイアンは、ボール自体やボールの向かって右側手前をあたかも直線的に叩くようなイメージで打つ指導を受けたり心積もりをされている方が多いようです。「ダウンブロー」とか「ボール(もしくはボールの手前)に打ち込む」といった言葉を受けて実践しておられることと思われます。

実際のゴルフ場のフェアウエー(土)の上で、このアイアンショットの打法を行い、うまくできた場合は、ボールの飛球方向(ボールに向かって左側)の少し先の土が適度に掘れて芝と共に飛ぶ現象が起こります。これは「ターフを取る」などと言われアイアンショットがうまくいった証左ともされています。

ただこのターフを取ることは、クラブヘッドが地面にぶつかる衝撃を、クラブを介して自分のうで、特に左手くびに受け止めることにつながります。

よって上手にターフを取っておられる方も、ゴルフをされる頻度が多い方だとこの衝撃が蓄積されて、左手首の痛みの原因となる可能性があります。またこのクラブを打ち込む角度が急角度でなされる場合は、掘れて飛ぶ土の量も多い分抵抗も増えますので左手首の負担もより増します。

また床がコンクリートなど硬い練習場でこの打法をされる場合、滑りの良いナイロン製のマットを介するものの、左手首の衝撃を受け止める負担がさらに増えます。打ち損なって、ボールの上(頂上の近く、トップという)や逆にボールの手前(ボールに向かって右手前の地面)を打ってしまった場合は手首の負担は相当なものと思われます。

肘編で述べました、手首のストレッチ運動に加え今回示す3種類の方向へ手首を曲げることで腕(前腕部)のすべての筋肉がストレッチされることになります。できればゴルフの前後でこのストレッチをするのも肘から手くびの間の障害を予防する上でおすすめです。

しかしご自身でこの手くびのストレッチやアイシングなどを行っても手くびの痛みが続く場合は、単純な使いすぎの炎症や捻挫ではなく、手首の関節を構成する軟骨などを痛めている可能性もあるため、病状を適切に把握するためにはやはり医療機関の受診をお勧めします。

当方、ゴルフの指導はできませんが、ゴルフ障害の指導ならばできますのでぜひどうぞ。