コラム:私の読書歴

 昨今は、歳のせいか根気がなくなってか、じっくりと腰を据えての読書がトンと減りました。

 それでも、最新のスマホは便利なもので、携帯操作で居ながらにしていろいろな書物をダウンロードで読書ができる便利な世の中になったものです。

 流行りの書物を取り寄せ(今的にはDLですか)紐解くのも一興ですが、旧世代の者としては、やはり子供の頃は図書館でしか読めなかった古今の文豪の名作の多くが版権切れ(現在は著作権の保護期間は作者の死後70年とされています)で、無料で読めるのがやはりスマホ読書の醍醐味です。

 近畿圏で育ち暮らした期間が一番長い自分が、何故だかよくわかりませんが近代の関東甲信越方面の風情や情景がすごく想像されるものとして好きな作品が

「武蔵野」国木田独歩

 東京の日本テレビ制作の「ぶらり途中下車の旅」という番組があり、この辺りではサンテレビで野球中継がないときに、本放送から数カ月遅れの分を放送しています。この番組はさまざまな芸能人がナビゲーターとして主に首都圏の鉄道路線に沿って途中下車した街をぶらつき、その土地のお店や施設を尋ねてゆく番組です。尋ねる多くの路線はやはり東京都下が多いのですが、構成上その土地の自然に触れるシーンが間々見受けられます。東京に居住したことはないのですが、イメージしているよりも地形や川の存在感が番組上感じられ東京の自然を探訪した気分になれる実はひそかに好みのテレビ番組であります。

 これを見ていて、東京都心で土地に結構アップダウンがあることに気付きました。それで調べてみると、東京は武蔵野台地が西から都心まで迫っていてその上にできた都市であることを知りました。

    万葉集のころから呼ばれていた武蔵野ですが、明治期に都市化が進む中で昔ながらの武蔵野の情景がまだ残っていたのが東京西郊の丘陵地帯とされ、その風景を描いたのが国木田独歩の「武蔵野」です。

 内容的には、武蔵野の四季折々の風景美を描いた随筆で、まあ特に関西人で何がおもろいんやと言われればそうなのですが、日頃我々が触れる機会のある六甲山系の自然とは違った自然美とくに明治期のまだまだ野生の残る武蔵野の場面を思い想像するのが、現実世界から逃避に最適な気がしませんですかね?

 ご興味の湧いた方は是非ご一読を。ダウンロードは無料ですよ!

井の頭公園内の神田川源流